ゴールド価格とは(インフレやパンデミックとの関係)

ゴールド価格の決まり方

ゴールド価格が過去最高を更新したと話題になっています。

金の国内店頭価格、最高値更新(2020/7/15)
金地金の小売価格が15日、約1週間ぶりに過去最高値を付けた。地金商最大手の田中貴金属工業が公表する小売価格は、前日比28円高い1グラム6909円(消費税込み)となった。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61546140V10C20A7QM8000/

そもそも金ってなぜ価値があるのでしょうか。また投資観点での金ってどう考えたら良いのでしょうか。

そもそも、なぜ価値があるのか?

ご存知のとおり、金は紀元前より人類がこよなく愛する金属です。個人的には単なる金属に過ぎないのでは?と思ってしまいますが、何千年も人気を保ち続けるには、それなりの理由もあるようです。

希少である

古代エジプト時代から人類が発掘してきた金の総量は約18万tと言われています。もしこれを1カ所に集めたとしても一辺が20数メートルの正方形にしか出来ず、世界の人口(75億人)で割ると1人あたり僅か24グラムです。また地球上の金の埋蔵量は残り5万tと言われています。「有限かつ希少」、こんなにもコレクター魂を揺さぶる存在は他にありません。

錬金できない

錬金術、つまり人工的に金を作る方法は現在までありません。厳密に言うと原子レベルでは「水銀※」に中性子線を当ててベータ崩壊させることで金を生成できるようですが、実用性のある方法ではありません。
※金より元素番号が1つ大きい

実際、年間3,000万t程度のペースで金は増えていますが、これらは全て鉱山など自然から発掘したものです。簡単に増やせない特性が未来の希少性を担保するわけです。

独り占めできない

金は世界中に上手いこと散らばっており、どこかの国が独り占めして価格を操作できません。

2017年時点の推定埋蔵量
オーストラリア・・・9,800t
南アフリカ・・・6,000t
ロシア・・・5,500t
アメリカ合衆国・・・3,000t
インドネシア・・・2,500t

https://nanboya.com/gold-kaitori/post/amountof-gold-extraction/

単独で世界の鉱山供給の20%を超える金を産 出している地域はありません。

https://www.spdrgoldshares.com/media/GLD/file/japanese/liquidity_in_the_global_gold_market_jp.pdf

生産調整などで需給バランスを崩すことなく、現在まで高価値を保ち続けているのです。

日本のゴールド事情

やはり有名なのは佐渡金山でしょうか。佐渡金山は1601年から発掘を始め、江戸幕府の直轄地として幕府の財政を支えたと言われています。その後、1989(平成元年)まで約400年も掘り続けた長寿の金山です。

現在は住友金属鉱山株式会社が発掘する鹿児島県の「菱刈(ひしかり)鉱山」が日本唯一の商業鉱山です。菱刈鉱山は1985年から発掘を始め、現在は年間6tペースで金を生産しています。菱刈鉱山の累計発掘量は250tと佐渡金山を超える日本最大の金山ですが、世界の生産量と比べるとさすがに見劣りしますね。やはり国土がモノを言う世界のようです。

ゴールドの取引市場

ゴールド価格はロンドン貴金属市場協会(LBMA)の定める価格が世界標準となっています。2015年にシステムが刷新され、現在はより透明性の高いシステムによって1日2回(ロンドン時間の午前10時30分と午後3時)、価格が決定されているようです。

その他にはニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の価格も有力な指標です。ゴールドの先物取引の中でもNYMEXの取引量は最大です。NYMEXはほぼ24時間動いてますので、いつでもリアルタイムに取引可能です。

引用:平成28年度商取引適正化・製品安全に係る事業(国内外商品先物市場の実態調査及び分析)調査報告書

取引単位

ゴールドは「トロイオンス」という単位で取引されます。1トロイオンスは31.1034768グラムです。ヤード・ポンド法の罪を感じます。また米ドルでの表記が標準的のようです。

インフレ・パンデミックとの関係

ゴールド価格の推移

1950年以降のゴールド価格を見ると、本格的な価格の自由化が始まった1968年頃から大きく変動しています。その後、1980年頃に一度ピークを迎えました。理由は中東情勢不安などからと言われています。ただし、2000年代初期のアメリカ同時多発テロやイラク戦争の際には大きな値上がりはありませんでした。情勢不安になれば必ず値上がりするわけでもないようです。

直近10年間では経済危機が続いた2011年頃にピークをつけ、コロナショックの2020年に再びピークを迎えています。

インフレとの関係

「金はインフレに強い」ってよく言いますよね。米国のインフレ率との比較です。

相関係数は-0.19程度でした。ほぼ相関ないですね。ただ、1970年代などは物価が全然違うのでゴールド価格を現在価値に変換してみます。これは米国の消費者物価指数を使用します。

今度は相関係数は0.66程度です。少し相関がある程度でしょうか。1980年はインフレ率/ゴールドともに高いのですが、1990-2000年頃はそこそこのインフレ率なのにゴールド価格は低迷しており相関が見られません。当時はドットコムバブルのためゴールドへの投資が減ったためと思いますが、一概に相関があるわけでもないようです。

また、ゴールド価格の1980年や2010年頃のピークは現在価値でいうと1トロイオンスあたり2,000ドルを超えるインパクトがあったことになります。現在進行中のコロナショックも同程度のインパクトと仮定すると2,000ドル程度までは上がる、つまりあと1割くらいは上昇するかもしれません。ただ、それを大きく超えて2,500ドルまで上がることは考えにくいと感じます。コロナショックは確かに小さくないですが、過去60年で最大の危機かと言われると、、、

パンデミックとの関係

ちなみに結論としては関係なかったのですが、過去のパンデミックとゴールド価格を比較します。

以下が近年でWHOがパンデミック宣言をした疾病の一覧です。

発生年病名死亡者数
1961-62El Tor型コロナ不明
1968-69香港かぜ(A/香港型)75万人
2009-10新型インフルエンザ1.4万人
2020-新型コロナ50万人以上

以下が価格の推移です。

社会不安とゴールド価格の連動性は一定数あると感じていましたが、チャート上の明確な関連性は見当たらないです。特に1968年の香港かぜは75万人も死亡しているのにゴールド価格は反応していません。当時は情報がうまく流通しなかったかもしれませんね。

まとめ

ゴールドには基本的に配当がないので、値上がり(キャピタルゲイン)だけを追う投資となります。現時点のゴールド価格は既に高水準ですし、世界的には人工減少/デフレ傾向のため金への投資は不利だなと思います。

ありえるとしたらコロナ禍をきっかけとした各国の財政ファイナンス(MMT論者が提唱するような施策)によるインフレ誘導策でしょうか。これが上手くハマって1980年のようにインフレになれば、2,500ドルや3,000ドルへ値上がりすることも期待できるかと思います。

ただ、それならばテスラ株で良いのでは、と思わざるを得ませんが。。笑

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